(仮訳)Scleroderma:属の最新知見:中国南部産のScleroderma節の4新種
Wu, R. et al., 2023. Updates on Scleroderma: Four New Species of Section Scleroderma from Southwestern China. Diversity. Available at: https://www.mdpi.com/1424-2818/15/6/775 [Accessed June 23, 2023] 【R3-10721】2023/6/23投稿

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3行まとめ

中国雲南省で採集された菌を検討し、Scleroderma erubescensなど4新種を記載した。
各種についてSEM観察を含む形態学的検討および分子系統解析を実施した。
中国産の本属菌の検索表を掲載した。
中国雲南省昆明市禄勧イ族ミャオ族自治県屏山郷小湾村

(新種)

Scleroderma erubescens Z.W. Ge, R. Wu & L.-R. Zhou
語源…赤変の(子実体が傷ついた時の変色性から)
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【よく似た種との区別】
Scleroderma verrucosum(ザラツキカタカワタケ)
中国に分布する
子実体表面に微小な小鱗片を有する
担子胞子表面が顕著な小刺状
外皮が薄い
ITS領域に基づく分子系統解析で近縁
本種と異なりフランス、イギリス、北マケドニアにおける分布が知られている
本種より子実体のサイズが大きい
本種と異なり子実体が傷つくと帯赤紫色~帯黒赤色に変色するという特徴を欠く
本種より外皮が厚い
本種より担子胞子のサイズが大きい
本種より担子胞子の刺が短い
本種と異なり菌糸にクランプを有するという特徴を欠く
ITS領域に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Scleroderma nitidum
アジアに分布する
子実体のサイズが類似している
子実体が傷つくと赤変する
外皮が帯黄褐色
担子胞子表面が小刺状
ITS領域に基づく分子系統解析で近縁
本種と異なり中国ではなくネパール、ブラジルなどに分布する
本種と異なり柄を欠くか小型の偽柄のみを有する
本種と異なりグレバが成熟時暗い帯紫色または帯灰褐色
本種より担子胞子のサイズが大きい
ITS領域に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Scleroderma texense
担子胞子のサイズが類似している
菌糸にクランプを有する
ITS領域に基づく分子系統解析で近縁
本種と異なり中国ではなく米国などに分布する
本種より子実体のサイズが大きい
本種と異なり子実体表面が顕著な小鱗片状
本種と異なり内皮が赤変する
本種と異なり担子胞子表面が小刺状ではなく類網目状である
ITS領域に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Scleroderma areolatum(ヒメカタショウロ)
子実体が頂孔から不規則に裂ける
グレバが類白色~暗い帯赤褐色
肉が強く赤変する
柄を欠くことがある
柄の形状が鋭い
担子胞子表面が刺状
ITS領域に基づく分子系統解析で近縁
本種と異なり中国ではなくドイツ、北マケドニア、イギリスなどに分布する
本種と異なり子実体が傷つくと帯赤紫色~帯黒赤色に変色するという特徴を欠く
本種より担子胞子のサイズが大きい
本種と異なり菌糸にクランプを有するのではなく欠く
ITS領域に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Scleroderma cepa(タマネギモドキ)
東アジアに分布する
柄を欠くことがある
偽柄を有することがある
担子胞子の装飾のサイズが同一である
ITS領域に基づく分子系統解析で近縁
本種と異なり中国ではなく米国、イギリス、韓国などに分布する
本種と異なり子実体が頂孔から不規則に裂けるのではなく星状に裂ける
本種より外皮が厚い
本種と異なり外皮が傷つくと帯赤紫色~帯黒赤色に変色するという特徴を欠く
本種より担子胞子のサイズが大きい
本種と異なり菌糸にクランプを有するのではなく欠く
ITS領域に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Scleroderma vinaceum
中国に分布する
柄が良好に発達する
ITS領域に基づく分子系統解析で近縁
本種と異なり外皮が傷つくと帯赤紫色~帯黒赤色ではなく帯ワイン色になる
本種と異なり菌糸にクランプを有するのではなく欠く
ITS領域に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Scleroderma separatum
中国に分布する
担子胞子の装飾が刺状
菌糸にクランプを有する
ITS領域に基づく分子系統解析で近縁
本種より外皮が厚い
本種より担子胞子のサイズが小さい
ITS領域に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Scleroderma squamulosum
中国に分布する
担子胞子のサイズが類似している
担子胞子の装飾が類似している
ITS領域に基づく分子系統解析で近縁
本種と異なり子実体が傷つくと帯赤紫色~帯黒赤色に変色するという特徴を欠く
本種より外皮が厚い
本種より柄が良好に発達する
本種と異なりグレバの菌糸が球形~数珠状の拡張した細胞で構成されるという特徴を欠く
本種と異なりグレバの菌糸にクランプを欠く
ITS領域に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
中国雲南省玉渓市新平イ族タイ族自治県桂山街道Douga村

(新種)

Scleroderma separatum Z.W. Ge, R. Wu & L.-R. Zhou
語源…分離の(外皮の小鱗片が剥がせることから)
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【よく似た種との区別】
Scleroderma dunense
担子胞子表面が小刺状
菌糸にクランプを有する
ITS領域に基づく分子系統解析で近縁
本種と異なり中国ではなくブラジルなどに分布する
本種と異なりハマベブドウ属植物の近くに発生する
本種と異なり柄を欠くことがある
本種と異なり偽柄が短いことがある
本種より担子胞子のサイズが大きい
本種より担子胞子の刺が短い
ITS領域に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Scleroderma albidum(シロニセショウロ)
子実体が小型
外皮が薄い
外皮が淡い帯黄褐色
外皮が傷つくと帯赤褐色に変色する
担子胞子表面が小刺状
ITS領域に基づく分子系統解析で近縁
本種と異なり中国ではなくフランス、ブラジルなどに分布する
本種と異なり子実体が老成すると星状に裂開する
本種と異なりグレバが帯灰緑色
本種と異なりグレバに帯黄色の実質の脈が混じる
本種より担子胞子のサイズが大きい
本種と異なり菌糸にクランプを有するのではなく欠く
ITS領域に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Scleroderma cepa(タマネギモドキ)
東アジアに分布する
子実体のサイズが類似している
担子胞子の装飾が類似している
ITS領域に基づく分子系統解析で近縁
本種と異なり中国ではなく米国、イギリス、韓国などに分布する
本種より担子胞子のサイズが大きい
本種と異なり根状菌糸束菌糸にクランプを欠く
ITS領域に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Scleroderma nitidum
子実体のサイズが類似している
内皮が傷つくと帯赤色になる
ITS領域に基づく分子系統解析で近縁
本種と異なり中国ではなくブラジルなどに分布する
本種と異なり柄を欠く
本種より担子胞子のサイズが大きい
本種と異なり菌糸にクランプを有するのではなく欠く
ITS領域に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Scleroderma erubescens
中国に分布する
担子胞子の装飾が刺状
菌糸にクランプを有する
ITS領域に基づく分子系統解析で近縁
本種より外皮が薄い
本種より担子胞子のサイズが大きい
ITS領域に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Scleroderma yunnanense
中国に分布する
外皮が傷ついても変色しない
柄が良好に発達する
菌糸にクランプを有する
ITS領域に基づく分子系統解析で近縁
本種と異なり子実体が黄褐色ではなく類白色~帯黄色
本種と異なり子実体表面に大型の小鱗片を有する
ITS領域に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Scleroderma squamulosum
中国に分布する
外皮の小鱗片が剥がれる
根状菌糸束菌糸にクランプを有する
担子胞子の装飾が類似している
ITS領域に基づく分子系統解析で近縁
本種より外皮が厚い
本種と異なり柄が良好に発達する
本種より担子胞子のサイズが小さい
ITS領域に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
中国雲南省怒江リス族自治州瀘水市

(新種)

Scleroderma squamulosum Z.W. Ge, R. Wu & L.-R. Zhou
語源…小鱗片状の(柄表面の性状から)
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【よく似た種との区別】
Scleroderma areolatum(ヒメカタショウロ)
子実体が小型
外皮が薄い
外皮が帯黄色
担子胞子表面が小刺状
ITS領域に基づく分子系統解析で近縁
本種と異なり中国ではなくイギリスなどに分布する
本種と異なり子実体が淡色でない
本種と異なり柄が良好に発達するという特徴を欠く
本種と異なりグレバが帯褐紫色~暗い帯オリーブ色
本種より担子胞子のサイズが大きい
本種と異なり担子胞子表面に豊富な”attachments”を有する
ITS領域に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Scleroderma venenatum
中国に分布する
ITS領域に基づく分子系統解析で近縁
本種と異なりメキシコにおける分布が知られている
本種と異なり毒性が知られている
本種より子実体のサイズが小さい
本種ほど柄が良好に発達しない
本種より担子胞子のサイズが小さい
本種と異なり担子胞子が光学顕微鏡下で”mauve brown”なのではなく黄金色である
本種ほど担子胞子表面に豊富な”attachments”を有さない
ITS領域に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Scleroderma dictyosporum(アミメニセショウロ)
中国に分布する
子実体のサイズが類似している
外皮表面に密に詰まった小鱗片を有する
根状菌糸束が多数存在する
根状菌糸束が白色
担子胞子のサイズが類似している
ITS領域に基づく分子系統解析で近縁
本種と異なり中国ではなくフランスなどに分布する
本種ほど柄が良好に発達しない
本種と異なり担子胞子が帯褐色ではなく黄金色
本種と異なり担子胞子の装飾が網目状
ITS領域に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Scleroderma erubescens
中国に分布する
担子胞子のサイズが類似している
担子胞子の装飾が類似している
ITS領域に基づく分子系統解析で近縁
本種と異なり子実体が傷つくと帯赤紫色~帯黒赤色に変色する
本種より外皮が薄い
本種ほど柄が良好に発達しない
本種と異なりグレバの菌糸が球形~数珠状の拡張した細胞で構成される
本種と異なりグレバの菌糸にクランプを有する
ITS領域に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Scleroderma separatum
中国に分布する
外皮の小鱗片が剥がれる
根状菌糸束菌糸にクランプを有する
担子胞子の装飾が類似している
ITS領域に基づく分子系統解析で近縁
本種より外皮が薄い
本種と異なり柄が良好に発達するという特徴を欠く
本種より担子胞子のサイズが大きい
ITS領域に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Scleroderma nitidum
中国に分布する
子実体のサイズが類似している
担子胞子のサイズが類似している
菌糸にクランプを欠く
ITS領域に基づく分子系統解析で近縁
本種と異なり子実体が老成すると星状に裂ける
本種と異なり外皮が傷つくと帯赤色になる
本種と異なり柄を欠く
ITS領域に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
中国雲南省怒江リス族自治州貢山トールン族ヌー族自治県普拉底郷補久娃村

(新種)

Scleroderma vinaceum Z.W. Ge, R. Wu & L.-R. Zhou
語源…ワイン色の(外皮の変色性から)
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【よく似た種との区別】
Scleroderma nastii
アジアに分布する
子実体が小型
担子胞子のサイズが類似している
ITS領域に基づく分子系統解析で近縁
本種と異なり中国ではなくネパールなどに分布する
本種より子実体のサイズが小さい
本種と異なり担子胞子表面が光学顕微鏡下で刺状、SEM下で不規則な刺状ではなくSEM下で不規則な網目状
ITS領域に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Scleroderma verrucosum(ザラツキカタカワタケ)
中国に分布する
子実体が小型
外皮が薄い
外皮が帯黄色
担子胞子表面が小刺状
ITS領域に基づく分子系統解析で近縁
本種と異なりフランス、イギリス、北マケドニアにおける分布が知られている
本種と異なりグレバが帯褐紫色~暗い帯オリーブ色
本種より柄が短い
本種より担子胞子のサイズが大きい
本種より担子胞子のトゲが短い
ITS領域に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Scleroderma bermudense
子実体のサイズが類似している
外皮が黄色または帯褐色
外皮が切断すると帯紫赤色に変色する
外皮表面が密に詰まった小鱗片状
担子胞子のサイズが類似している
ITS領域に基づく分子系統解析で近縁
本種と異なり中国ではなくバミューダ島、セネガル、レユニオンなどに分布する
本種と異なり子実体が老成すると星状に裂ける
本種ほど柄が良好に発達しない
本種と異なり担子胞子表面が類網目状
本種と異なり菌糸にクランプを欠くのではなく有する
ITS領域に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Scleroderma venenatum
中国に分布する
子実体のサイズが類似している
ITS領域に基づく分子系統解析で近縁
本種と異なりメキシコにおける分布が知られている
本種と異なり毒性が知られている
本種と異なり柄を欠く
本種より担子胞子のサイズが大きい
本種と異なり担子胞子が光学顕微鏡・KOH下で帯ワイン褐色ではなく黄金色
本種と異なり菌糸にクランプを欠くのではなく有する
ITS領域に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Scleroderma erubescens
中国に分布する
柄が良好に発達する
ITS領域に基づく分子系統解析で近縁
本種と異なり外皮が傷つくと帯ワイン色ではなく帯赤紫色~帯黒赤色になる
本種と異なり菌糸にクランプを欠くのではなく有する
ITS領域に基づく分子系統解析で明瞭に区別される